『幻奏喫茶アンシャンテ』(Nintendo Switch)
オトメイト(アイディアファクトリー)
- 満足度:★★★★☆ 4.5
- 総評:★★★★☆ 4.5
- シナリオ:★★★★ 4.0
- キャラクター:★★★★★ 5.0
- イラスト:★★★★★ 5.0
- 音楽:★★★★☆ 4.5
- システム:★★★★ 4.0
良かった点:
王道で熱い展開、サブキャラクター含め個性的で魅力あるキャラクター、美麗なグラフィックと雰囲気に合った BGM
悪かった点:
序盤のテンポがやや悪い、恋愛過程の描写が薄い、ご都合主義感的な展開がある
購入動機:
イラストが綺麗だったのと、人外との恋愛が楽しめると聞いて
プレイ状況:
エンディング・CG フルコンプ
プレイ時間:
共通ルートが約 10 時間、個別ルートが各 4 ~ 6 時間、フルコンプに 40 ~ 50 時間
作品情報
『幻奏喫茶アンシャンテ』は 2019 年にオトメイトにより発売された女性向け恋愛アドベンチャーゲームで、選択肢によって分岐していく、シンプルなノベルアドベンチャーゲームです。シナリオは中山智美さん、小縞なおさん、吉村りりかさん、佐々木麿さん、イラストはユウヤさんが担当されているようです。キャストは、
- ミシェル・アレックス:赤羽根健治
- カヌス・エスパーダ:梅原裕一郎
- イル・ファド・デ・リエ:石川界人
- イグニス・カリブンクルス:小野友樹
- 凛堂香:諏訪部順一
物語
舞台は現代日本。主人公である琴音(名前変更可)が、祖父の経営していた喫茶店アンシャンテを継ぎ、アンシャンテに通う常連たちと交流し、仲を深めていく恋愛アドベンチャーゲームです。喫茶アンシャンテの常連たちは一人を除いて全員人外、魔王に天使、魔獣に首なしデュラハンと個性的なメンバーたち。彼らと交流していく中でどのような物語が紡がれていくのか……、といった内容となっています。
以下、ネタバレには配慮していますが、どういった雰囲気のゲームかについては言及していますので、気になる方はご注意下さい。
王道で熱いシナリオと魅力的なキャラクター
『幻奏喫茶アンシャンテ』は、攻略対象が一人を除いて人外、中には顔のない攻略対象もいるという、恋愛アドベンチャーゲームとしては一見かなり色物なのですが、実際には、各攻略対象たちが自身の抱える問題を主人公とともに乗り越え、絆を深めていくという王道で熱いシナリオが展開されるため、シナリオとしては結構万人受けするのではないかと思います。ゲームは共通ルートと個別ルートに分かれていて、攻略対象によっては恋愛感情というよりも親愛感情では?と思うシナリオもあり、恋愛感情を抱くに至る過程の描写は全体的に薄く感じましたが、主人公と仲を深めていく過程が丁寧に描写されているため、個人的には気になりませんでした。ただ、やはり攻略対象が人間じゃないという点が受け入れ難い人はいるかと思いますので、そこはご注意を。また、もう一つ注意点として、ゲームのパッケージや公式サイトのほんわかした雰囲気に反して、バトルや暴力的なシーンが含まれます。このゲーム、CERO C なのですが、ほぼ間違いなく流血、暴力シーンが原因です。とはいえ、あくまでベースは恋愛アドベンチャーで、そういった描写は控えめなので、バトル系の漫画(あまり詳しくないですが、鬼滅の刃や東京喰種辺り)が読めるのであれば問題ない範囲であるかなと思います。
こういったシナリオを引き立てているのが、魅力的なキャラクターたち。攻略対象であるアンシャンテの常連メンバーは、美麗なイラストも相まって、個性的で、とても魅力的です。そのため、キャラクター同士の会話は、日常的な会話ですら読んでいて楽しく、一人を除いて人外という設定にもかかわらず、時に妙に人間臭かったりして、ずっとこのゲームの世界に使っていたくなります。公式からの推奨攻略順としては、カヌス、イグニス → 凛堂、イル → ミシェルとなっていますが、攻略制限のかかっているミシェル以外は好きな順番で特に問題ないかなと思います。また、攻略対象以外のサブキャラクターたちも一癖二癖あるキャラクターたちばかりなのですが、みんなとても魅力的で、それもこのゲームの好きなところです。
喫茶店の雰囲気にマッチしたグラフィックと BGM
このゲームをプレイしたとき、一番に目に入ったのが、喫茶店の雰囲気にマッチした可愛らしい UI と落ち着いた雰囲気の背景です。また、BGM もレトロな喫茶店を思わせる落ち着いたものになっており、世界観を引き立て、ゲームへの没入感を増大させてくれます。
個人的に気になった点
シナリオ部分に関して個人的に気になった点として、序盤のテンポがややゆっくりです。ノベルゲームではある程度仕方がないのかもしれませんが、特にこのゲームでは常連メンバーたちの住む異世界の説明がしばしば挟まるため、余計に気になりました。また、一部のルートでは、ご都合主義的な展開があり、少し残念でした。
システム的な面では、既読スキップが遅めな上、共通ルートが結構長いので、各ルートの攻略が地味に大変でした。
まとめ
人間と人外との恋をテーマにしているだけあって、ややニッチな作品ではありますが、キャラクター、グラフィック、雰囲気、シナリオいずれも高水準でまとまっていて、人外要素に忌避感がなければプレイして損はない作品だと思います!常連仲間ということで、攻略対象同士のやり取りも楽しく、和気藹々とした日常会話を聞いているだけでも楽しかったり。主人公がそんな常連メンバーたちと絆を深めていく過程がとても丁寧に描かれていて、とても楽しめた作品でした。
※ 以下、ネタバレありの個人的な感想です。
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