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片恋いコントラスト その3 (第三巻 楠見・楡居ルート)

 『片恋いコントラスト』、第三巻も無事クリア!気になっていた桐阪先輩と樫永君のルートが終わってしまったので、第三巻はそこまではまらないかな~と思っていたんですけど、楡居君のシナリオが滅茶苦茶良かったです……!

 

片恋いコントラスト -collection of branch - Switch

片恋いコントラスト -collection of branch - Switch

  • 発売日: 2019/08/22
  • メディア: Video Game
 

 

 ※ 以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください。

 

楠見清孝

 プレイして感じた率直な感想は、ずるくて駄目な大人だな、ですね。冴子に昔の自分を重ねて関わっていくことでそれがやがて恋心にというのは定番で良いんですけど、思わせぶりな態度をとったかと思いきや、教師という立場を盾につれない態度をとったり。初恋編(楠見編)の最後では、教師という立場を考えて冴子を振ることになるのですが、傷恋編(楡居編)では冴子と親しくしている楡居君に牽制してきたり、その割に楡居君に宣戦布告されるまで冴子への気持ちや態度もはっきりしなかったり。まぁ、楠見先生は過去に自分を救ってくれた飯塚先生に憧れて先生になった訳で、その教師への憧れの気持ちを思い出させてくれた冴子は間違いなく楠見先生にとって特別であると同時に、生徒との色恋沙汰(ただの噂だったけど)で退職した飯塚先生のことを考えると、自分が冴子を恋愛対象として見ているというのは認めがたい事実だったんだろうなぁ。とはいえ、理由はあっても生徒を巻き込んで良い理由にはならない訳で。キャラクターとしてはそんなに惹かれなかったというのが正直なところ。でも何より、CV 鳥海浩輔さん。もうこれだけで全部許せそうなくらい。気だるげな演技が滅茶苦茶ツボで大好きでした。

 2 周目の楠見先生パートをプレイしていたら、想像以上に駄目な大人で、おおうとなりました。学長に世話になったというのがクジを買いすぎての給料の前借りって、大人として大丈夫かと思わず真顔になりました。それに先生タバコも吸ってたのね。これ楠見先生と結ばれた後の冴子は大丈夫かな?と思ったけど、冴子のおかげで先生が矯正されているので(普通逆では?)、どちらかというと冴子が他のキャラクターと結ばれた場合の先生の将来が不安……。昔は、漫画や小説で教師と生徒の恋ってロマンチックだなぁと思っていたけど、現実が見えきたのか最近は駄目だな、常識がどうしても気になってしまう。「片恋いコントラスト」という作品が、良い意味で現実にもありそうな等身大のキャラクターたちの物語となっている分、楠見先生の煮え切らない態度が生々しく映るのかもしれないけれど。

楡居凪

 転校生という設定上、冴子が高校 2 年に進級するまで登場しないので、初恋編をクリアして傷恋編に入るまで出番がなくて印象が薄かったのですが、滅茶苦茶良かったです!マイナス印象からのスタートという少女漫画ではありがちな展開ですけど、王道で良いです。出会ったばかりのころは楡居君のつっけんどんな態度で喧嘩ばかりの二人ですが、一緒に勉強するようになって、一緒に下校するのが当たり前になって、共通の趣味(マドナイ)が発覚してからは好きなことの話で盛り上がって、気がついたら唯一無二の大事な友達になっていて、そこから恋愛感情に発展してと、一つ一つ関係性を積み上げていく過程が丁寧に描かれているのが本当に良かった。大事な友達ができて、その相手を好きになった、友達という関係が前提にあっての恋愛というのがすごく好きでした(他の作品では意外と見ない気がする)。だからこそ、楡居君の告白シーンでの、大事な友達で今の関係性が大切だから、冴子のことは好きだけど、恋人という形にこだわって中途半端に付き合ったりして大切な関係性を壊したくないという下りが響きます。最終的にラジオで告白というのも、マドナイのヘビーリスナーな二人らしくて良かった。

 クリア後のおまけ SS も良かった。本編ではずっと「楡居君」と読んでいたのに、おまけ SS では「凪君」と名前呼びになっていたのがかなりツボでした。それから、お互い言葉にしないと分からないと、喧嘩しながらもお互いの気持ちを確認しながら一歩一歩進んでいく二人の関係性がとても好きです。

総評

 「片恋いコントラスト」第三巻は、人付き合いを避けてしまった(しまっていた)り、将来のことを考えられずに目の前の勉強に真剣に取り組めずにいた(過去があった)りと、どこか似たようなところのある三人の物語でした。だからか、これまでの中で、冴子が一番素を見せていた巻じゃないかな。普段人付き合いを避けてはいるけれども、親しい人とは冗談を言い合ったり、趣味の話をしたりと、肩肘はらずに楽しそうに接していて、この巻の冴子の雰囲気が一番好きでした。三角関係編は、一度冴子を振ったのにもかかわらず、楡居君の牽制に張り合う楠見先生が大人気なかったですね。楠見先生を意識して意地になってしまう楡居君は年相応の男の子っぽくて好き。ちょっとした場面ですが、楠見先生と楡居君の修羅場を察知して、即座に去っていく眞泉さんが地味にツボでした。

 「片恋いコントラスト」全体としても、本当に楽しめました!シナリオの壮大さや、キャラクターの個性の強さなどがなくても、これだけ面白い作品ができるんだなぁと感動しました。評価つけるとしたら★★★★。これまでも散々書いてきましたが、恋愛描写がとても丁寧で、等身大のキャラクターたちによる思春期特有のもどかしさ、ままならなさに振り回される恋愛模様が本当にプレイしていて楽しかったです。主人公の冴子は人付き合いを忌避している、どちらかというとネガティブなタイプの女の子なのですが、思春期を経験してきた人なら共感できるんじゃないかな?というリアルさというか飾らない感じがあって、見ていてもどかしいながらも感情移入してしまう絶妙さが良かったです。少女漫画が好きな人などには是非プレイしてもらいたい……!

 プレイ前と後の好きなキャラクターを順番に並べるとこんな感じかな。キャラクターの好みで言えば桐阪先輩と樫永君のツートップなんですけど、シナリオや主人公との関係性を考えると楡居君が滅茶苦茶良かったです。自分でも、楡居君シナリオでこんなにテンション上がると思っていませんでした。上で色々書きましたけど、楠見先生はやっぱり CV 鳥海浩輔さんが良かった……。

プレイ前
桐阪、樫永>楡居>椎葉、楠見>檜渡

プレイ後
楡居≧桐阪≧樫永>楠見>椎葉>檜渡

 

【プレイ時間】
序章:20 分
初恋編:2 時間 30 分
傷恋編:1 時間 50 分
三角関係編:1 時間 20 分