炬燵の中でゲーム三昧

ゲームのプレイ雑記やあれこれ

OPUS 地球計画 その1

 『OPUS 地球計画』(Nintendo Switch 版)、低価格(Switch、DL 版なら 500 円!)ながら評判の良いインディーズゲームで、雰囲気が良さげだったので、購入、プレイしました。

 広大な宇宙の中で地球を探すゲーム。温かみのあるイラスト・キャラクターと美しい宇宙、こだわりの BGM と想像力を掻き立てる余白のある物語が良かったです。ただ、良くも悪くも雰囲気ゲーなので、評判の良さからちょっと期待値を上げすぎたかも……というのが正直な感想です。とはいえ、間違いなく値段以上のクオリティはあり、ストーリークリアだけなら 1、2 時間でさっくり遊べるので、気軽に楽しめます。

 

 

※ 以下、ネタバレが含まれますので、ご注意ください。

 

 物語は、主人公であるロボットのエムがリサ博士から OPUS 号の望遠鏡の使い方を教わるところから始まります。エム、博士、そして搭乗員のマコトは、神話の中だけの存在となった人類の祖国地球を探すため、宇宙を旅をしています。しかし、気がついたらエムは OPUS 号の中、ただ一人残されいました。博士とマコトはどこへ行ったのか?エムは果たして広大な宇宙の中から地球を見つけ出すことができるのか?博士の姿を模した汎用サポート AI リサとともにエムは宇宙の旅を続けていくことになります。

 ゲームとしては、OPUS 号から与えられるヒントに基づいて望遠鏡で地球との相似度が高い惑星を探していくというものになります。基本的には、この惑星の探索の繰り返しですが、目的の惑星へのナビが利用できストーリーに集中できる「ストーリーモード」ナビを利用せず自力で攻略する「アドベンチャーモード」からモードの選択ができ、誰でもプレイできるようになっています。自分はアドベンチャーモードでメインストーリークリアまで 1 時間 40 分ほどだったので、難易度自体もそれほど高くないです。ただ、全体としては単調でゲーム性はかなり低めです。全体マップもない中、目的の惑星をひたすら探し続けるのは正直面倒に感じましたが、このゲーム性が広大な宇宙の中から地球を見つけ出すという途方も無い目的と合致しているので、良くも悪くも雰囲気重視なゲームとなっています。

 このゲームの見所はなんといってもストーリーで、BGM や映像による演出がとても良いです。序盤~中盤の探索場面では、ゆったりとした BGM で広大な宇宙の中での静謐さや孤独感が感じられます。終盤~クライマックスにかけては物語が大きく動き、OPUS 号がシャットダウンして地球探索も絶望的な中、博士が LISA と名付けた恒星に接近したことで電力供給されるとともに、緊急事態発生と判断され、システムが復旧したところは、もう再び会うことはないとしても、博士とエムが恒星 LISA を通して繋っているんだなと感じられて感動しました。リサの一時消失、OPUS 号シャットダウン間際でのノイズ演出や、恒星 LISA に衝突しそうになりながらも地球を探索し続け、遂には地球を見つけ出すことに成功する場面での BGM の盛り上がりもとても良かったです。このゲームは、ゲーム開始直後にイヤホンを使用してのプレイを推奨しており、かなり BGM にもこだわっているようです。主な登場人物であるロボットのエムと AI のリサのキャラクター性や、二人のやり取りも良い。ロボットでありながら幼くわがままだけど、博士との地球を見つけるという約束を果たすために真っ直ぐ前向きなエムには救われ癒やされますし、AI らしく現実的に物事を考え現実の非情さを理解しつつも、エムを優しく見守り助けるリサも妙に人間らしくて好きです。

 一方で、物語は基本的にエムとリサの二人の会話劇で進んでいくので、物語の背景や世界観について直接語られることはほとんどありません。なぜ地球を見つけ出す必要があったのか、博士やマコトは一体どこへ行ったのか、地球を発見したあとエムやリサ、人類たちはどうなったのか、博士やマコトがどういった背景を持った人間なのか、エムは誰によって何のために作られたのか、OPUS 号に残された資料やメモ、物品から、プレイヤーが想像するしかありません。こういった想像を掻き立てる余白のあるストーリーは個人的に好きです。プレイ後に色々想いをはせるのが楽しいゲーム。

 一応地球を見つける目的は、宇宙進出した人類が文明発展の果てに自ら遺伝子改造を進めた結果、改造された遺伝子に問題点が発見されたため、人類を救済するために人類のオリジナルの遺伝子が必要だからということが、OPUS 号内に置かれた資料から判明します。この情報一つとっても、プレイヤーが能動的に情報を集めていかないと入手できない作りになっていて、プレイヤーによってプレイの仕方に幅があるのが良いです。 マコトの部屋にはマコトと女性の写っている写真があって恋人か奥さんがいるんだなぁとか、博士の部屋には母親からの無事を祈る手紙が置いてあって家族の温かみを感じたり。

 博士とマコトの行方についてはあまり希望的な状況ではなさそう。そもそもエムが一人 OPUS 号で目覚めた時点で、博士たちと過ごした時間軸からどれくらい経っているかも定かでなく、人間の寿命を考えるとそもそも二人が生きている保証はなく。しかも、OPUS 号の中には、地球探索プロジェクトを中止する旨の通達や電力供給不足への対応へ追われた形跡、宇宙病の対処法に関する資料や延命薬、脱出ポット射出成功のメッセージなどがあり……。おそらく博士はギリギリまで希望を捨てずに地球を探索したものの、OPUS 号の電力供給不足や宇宙病の発症により脱出ポットでの脱出を余儀なくされたんだろうと推測されるけれど、それで故郷の星へ帰ることが出来たかも定かではなく。そんな状況でもエムを OPUS 号に残したのは、地球を見つけ出す希望を最後まで捨てなかったんだろうなぁ

 このゲームの物語はエムとリサが地球を発見するところで終わるけれど、そのあと地球の発見によって人類が救済されたかどうかも分からないんですよね。そもそも地球に人類は残っているのか、無事オリジナルの遺伝子を入手できるのか、入手した遺伝子で本当に人類が助かるのか……、疑問は尽きないですが、そうやって色々と考えるのが楽しいです。

 とりあえずメインストーリークリアしましたが、サブミッションはほぼ無視していてミッション達成度が 59 % なのと、どうやらサブストーリーもあるらしいので、引き続きプレイ予定。