炬燵の中でゲーム三昧

ゲームのプレイ雑記やあれこれ

ヘッドライナー:ノヴィニュース その1

 『ヘッドライナー:ノヴィニュース』(Nintendo Switch 版)をプレイ中です。架空の国「ノヴィスタン」で新聞社の編集長となり、新聞の記事を通して国民の世論を作り上げていくゲームとなっています。プレイヤーがどんな報道をするかによって世情が大きく変化するといったコンセプトに惹かれて購入、確かにコンセプトは良く、様々な問題を抱えるノヴィスタンという国、そこで生活する同僚や家族などの身近な人々も魅力的なのですが、ゲーム性、操作性が合わず、周回前提のゲームなのに 1 周目で既に飽き始めています……。

 

ヘッドライナー:ノヴィニュース - Switch

ヘッドライナー:ノヴィニュース - Switch

  • 発売日: 2019/12/12
  • メディア: Video Game
 

 

 ※ 以下、ネタバレを含みますので、ご注意下さい。

 

 このゲームの一日は、新聞に掲載する記事を選択する「編集パート」と、仕事を終え帰宅するために街を移動する「移動パート」に大きく別れ、これを 14 日間繰り返すことによって、プレイヤーの選択に沿ったエンディングに到達します。

 記事には、大きく 4 個のカテゴリ(合成酒、医療、外交、治安)があり、それぞれのカテゴリについて、どういった記事を掲載(承認)するか、掲載しないか(否認)するかによって、世論が大きく変化していき、帰宅時、街中を移動する中で、自分の選択が世論にどう影響したのか知ることが出来ます。例えば、合成酒(ベターバッズ)について、その強い依存性や健康への悪影響への懸念について誠実に報道することも出来ますが、新聞社のスポンサーであるドリンコープからの心象が悪くなってしまいます。医療であれば国民皆保険法案を可決するかどうか。可決すれば、低所得者も医療が受けられるようになりますが、一方で医療施設がキャパシティを越え、医療の質が下がってしまいます。ノヴィスタンが世界へ門戸を開くよう世論を誘導すれば外資によって安価な商品や労働力が増え、在住外国人の住みやすい国になりますが、地元の個人商店の経営は圧迫されていきます。

 新聞記事の影響は身近な人々にも及びます。同僚の海外派遣記者エヴリンは、在留外国人であるため外交世論によって世間からの風当たりが変わりますし、健康上の問題も抱えているため国民皆保険の可決で医療の質が落ちると十分な治療が受けられず、命の危険に晒されてしまいます。一方、プレイヤーの兄でコメディアンを目指すジャスティは精神的な疾患を抱えていますが、低学歴で定職についていないため国民皆保険が否決されるとメンタルセラピーを受けることができず、病状が改善しません。他にも自宅の近所で個人商店を営むルディとその娘や、新聞社の上司(ボス)など、それぞれの登場人物が、それぞれの事情を抱え、ノヴィスタンの世情に翻弄されていくこととなります。掲載される記事の真偽にかかわらず、プレイヤーの選択よる影響は良いものばかりではありません。良かれと思ってした選択が、ある人物にとって不都合な結果を招く結果となることも少なくありません。国の将来や身近な人々の日常がプレイヤーの選択に委ねられる恐ろしさ、そしてどの選択にも正解、不正解はなく、あちらを立てればこちらが立たない、そのやりきれなさ、もどかしさが現代社会の問題を写しているようで考えさせられました

 1 周目は、思うままに行動した結果、グローバル化を奨励し、ベターバッズをはやらせ、真実の語り部たちに促されるまま陰謀論を広めて暴動、ウォルフ首相の暗殺へと発展させ、最終的に政府の意に沿わないことを理由に新聞社を首になりました。エヴリンとはいい感じになったものの彼女の病を完治させるには至らなかった上、彼女は子供を産めない身体となり、兄のジャスティンはメンタルセラピーを受けられるようになったもののコメディアンとして大成するには至らず、ルディは外資系企業に押されるも依存性の高いベターバッズを売り出すことにより経営を立て直すという、なんとも後味の悪い結果に。真実の語り部たちの語る「最近流行している遺伝子病は、外国の介入を防ぎたい政府による人災である」という陰謀論も、実際に真実かどうか定かでないし、真実であったとしてもそれを国民へ明かしたことにより暴動と首相暗殺で国内はボロボロ、新聞社も政府に取り込まれ、ノヴィスタンの未来がどうなるのか不安も感じられるような終わり方で。そんなままならなさがリアルというか、心に刺さって良かったです。

 ただ、ゲームとしてみると気になる部分が多かったです。1 周クリアした印象としては、望むエンディングに到達するよう 14 日間のスケジューリングを行うゲームだと理解したのですが、ゲームとして単調かつ洗練されていなくてリプレイ性が低く感じました。一応、新聞記事については「ノルマ」という形で一日の掲載記事に制限がかけられたりしますが、全体的に選択肢がシンプルなのでゲームとしての遊びがない(プレイヤーが試行錯誤したり、介入したりできる部分が少ない)ので、何周もする前に飽きてしまうんじゃないかなぁと(というか既に飽き始めています)。クイックセーブのようなものがあればよかったんですが。また、1 日毎にしかセーブされないため、記事の採用、不採用や会話中の選択肢で間違ったときに大きくやり直す必要があり、周回が非常に面倒になっています(もともと PC で発売されたゲームでマウス操作を想定して UI が作られているのか、記事の採用、不採用を行うボタンが直感的でなかったり、会話中の選択肢でカーソル位置を合わせにくいのも難点)。周回前提のゲームであるにも関わらず、周回がしづらい(したくない)仕様になっていて、プレイヤーの選択によってノヴィスタンの未来がどう変わるのか気になるゲームなだけに残念です。

 とりあえず、1 周目クリアで「ヘレン・ダンスト副保安官」というキャラクターが解放されたので、もう 1 周くらい頑張ってプレイしてみる予定です。

 

【1 周目のエンディング】

私の同僚は、一番欲しかったものを失った
私は不安に苦しむ兄を見守った
私はベターバッズを全国へ売り込んだ
ボスが逮捕された