炬燵の中でゲーム三昧

ゲームのプレイ雑記やあれこれ

蛇香のライラ Allure of MUSK 感想

蛇香のライラ Allure of MUSK」(PC、Nintendo Switch 移植版有) 
オトメイトアイディアファクトリー
(女性向け恋愛アドベンチャー

蛇香のライラ ~Allure of MUSK~ 第二夜 アジアン・ナイト
 
蛇香のライラ ~Allure of MUSK~ 第三夜 アラビアン・ナイト
 

 

- 満足度:★★★☆ 3.5

- 総評:★★★★ 4.0

- シナリオ:★★★ 3.0
- キャラクター:★★★★☆ 4.5
- イラスト:★★★★ 4.0
- システム:★★★☆ 3.5
- 主題歌:★★★★★ 5.0

良かった点
世界観・雰囲気が良い、攻略対象が魅力的、主題歌が良い

悪かった点
主人公の描写不足やシナリオの粗が目立ち物語の説得力が弱い

プレイ状況
エンディング フルコンプ

プレイ時間
共通ルートが約 2 時間、個別ルートが約 2 時間、フルコンプで約 20 時間

作品情報

蛇香のライラ Allure of MUSK』は 2018 ~ 2019 年に第一夜 ~ 第三夜の分作でオトメイトにより発売された女性向け恋愛アドベンチャーゲームで、選択肢によって分岐していく、シンプルなノベルアドベンチャーゲームです。2019 年には全三巻が一本のゲームとして Nintendo Switch に移植されており、追加要素がある一方、一部表現やスチルがマイルドに変更されているようです。シナリオは吉村りりかさん、イラストはユウヤさんが担当されています。キャストは、
- ヴィンス・ルーガン:谷山紀章
- ロラン・クライデル:立花慎之介
- 鱗皇驪:興津和幸
- 鱗希驪:佐藤拓也
- ライザール・シャナーサ:森川智之
- ジェミル:村瀬歩

物語

 主人公シリーン(名前変更可)は、砂漠に囲まれたシャナーサ王国のショーサロン・カマルで店一番の踊り子、舞妖妃として働く傍ら、男を惑わし、クライアントからの依頼を達成させる密偵としての顔も持っています。そして今、シャナーサ王国では、各国の次世代の為政者たちを集めた「世界次世代指導者会議」が開かれ、シリーンは各国の王子たちを相手に密偵として近づくこととなり……。

魅力的な攻略対象、グラフィック、音楽

 シナリオについては、シナリオの短さ故だとは思いますが、やや駆け足で、粗が多く突っ込み所も満載ですが、短い分勢いがあって意外と気にならないです。起承転結がはっきりとしていて一つの物語としてきれいにまとまっていて面白いので、さっくり楽しめます。攻略対象はみんな個性的で、各キャラクターの抱える事情も含め、美麗なグラフィックも相まって非常に魅力的に描かれています

 各巻ごとにヨーロッパ、中国、アラビアをモチーフにした国が舞台となっており、背景グラフィックや BGM による各国の特色の演出も雰囲気があって良かったです。

 また、いとうかなこさんによる主題歌「Lyla」も、蛇香のライラの世界観を表現した素晴らしいものとなっていて、二周目以降もスキップしないどころか、オープニングムービーだけ何回も見返してしまいました。Youtube の公式チャンネルで主題歌をのせたオープニングムービーが視聴可能なので是非。


www.youtube.com

 

個人的に気になった部分

 主人公のシリーンは、密偵として男を誘惑し、騙すことを生業としながらも、純粋無垢さや優しさを内包する、二面性のある魅力的な女性として描かれている……というよりも、描こうとしているのは理解できるのですが、それがいまいち伝わってこない、説得力に欠けるの残念。ライターさんの技量というより、物語の尺の問題だとは思うのですが、シリーンは男性に対し誘惑に弱い生き物という冷めた目線を持っていながら、攻略対象に対しては驚くほど簡単に籠絡されるので、密偵としての妖艶さや思慮深さも、一人の女性としての優しさや危うさも伝わってこず、ただ流されているように見え、シリーンの魅力が十分に表現されていないように感じました。そのため、攻略対象たちがこぞってシリーンに魅了されていく部分に納得できなくて、結果として物語全体にのめり込めず。いっそ主人公が無個性なら気にならなかったのでしょうが。

 このゲームのテーマの一つである「官能」については、全年齢ゲームとしては結構際どい描写があります(特に第三夜)が、中途半端な感じは否めず。素直に R18 作品にすれば良かったのでは、と個人的には思いました。

 システム面は、スキップやオートなど一通りの機能は揃っていて、UI も世界観に合わせた凝ったデザインで美しいのですが、それゆえにシステムメニューの文字が若干見づらくなっていたのが残念です。

まとめ

 主人公であるシリーンが合わなかった、の一言に尽きます。その点を除けば、シナリオ自体は結構好きで、なにより攻略対象が魅力的なので、異国風ファンタジー世界を舞台とした濃密な恋愛をさくっと楽しめる良い作品だと思います。設定の盛り込み具合に対してシナリオが短い感はあるので、シナリオの尺を伸ばしてもっと骨太な作品になっていたらかなり印象が違ったのでは。

 

 ※ 以下、ネタバレありの個人的な感想となります。

 

プレイ後感想(ネタバレあり)

 シナリオの感想は後述するとして、三巻購入特典が triAngle PROJECT で制作された別作品のパロディなのはどうにかならなかったんでしょうか……。このゲームのプレイしていた時点ではパロディ元の二作品ともよく知らなかったので、攻略対象たちはキャラ崩壊しているわ、身内ネタを見せられているようだわで置いてけぼり感しかなかったです。宣伝が目的かもしれないけれど、この特典シナリオでパロディ元をプレイしようとは思えず。普通にこのゲームのプレイヤーが楽しめる内容にして欲しかったなぁと思いました。

 

 キャラクターの好みを挙げるなら、

プレイ前
皇驪、ロラン>希驪>ジェミル>ライザール>ヴィンス

プレイ前
皇驪>ロラン、ライザール>ジェミル>ヴィンス>希驪

 

 以下、キャラクター別の感想。

ヴィンス・ルーガン

 物語内では冷徹な人物として周囲から評価されていますが、自分にも他人にも厳しいだけで、一番の常識人な気がします(滅ぼした国の王族を皆殺しにするのは、世界観を考えると妥当な判断なのではと思うので、プレイしている側からは冷徹な人物とは感じなかったです)。ヴィンスルートは、信頼していた幼馴染の部下に裏切られ、挫折を経験してからの成長が良い。ただ、常識人ゆえに、他の個性的な攻略対象たちに比べると影が薄く感じてしまうという……。

ロラン・クライデル

 妹によく似た人形に語りかけるなど、初登場時から精神的な危うさが伝わってくる人。でも、個別ルートで語られる過去を考えるとさもありなん。幼い頃から、愛情への飢えにつけこまれて性的に搾取されていたというのはエグい。精神面の危うさと芯の強さのバランスが絶妙で、グッドエンドもバッドエンドもロランらしくて好きです。せっかく官能がテーマになっているのだから、ロランのバッドエンドや第一夜の二重スパイルートみたいな倒錯的なシナリオがもっとあったら良かったのになぁ。

鱗皇驪

 ロランとは別の方向で、狂気と正気を併せ持った人。異常なまでの禁欲さ故にシリーンも苦戦するのだけど、欲望が分かりやすく肉欲として表出しないがためにかえってエロさが際立っていて、桃を食べさせるシーンは作中一二を争うくらい官能的で倒錯的だった気がします。次期皇帝としての責任感とシリーンを大切に思う気持ちと、どちらも譲れない感じが好きでした。互いに支え合い、一緒に前に進んでいく感じが一番感じられるのも良かった。あと、単純にビジュアルや雰囲気が断トツで好み。

鱗希驪

 公式サイトのキャラクター紹介で狡猾と書かれていて、もっと賢しい感じを想像していたから、一番素直で一途なキャラクターで意外でした。最初の方はシリーンに振り向いてもらうために希驪側が必死だったのが、だんだんシリーン側が自分の弱さと向き合い、それを希驪が支える形で立場が逆転していくのがうまいなぁと。自分の欲望にも素直なのが皇驪と良い対比になっていて良かった。別腹で過去に色々あったのに、いつも兄の心配をしていて兄弟仲が良いのも微笑ましかったです。

ライザール・シャナーサ

 メインヒーロー的な立ち位置のキャラクターにあまり惹かれないことが多いのですが、素直に格好良かった。王族の生まれでも育ちでもないのに、登場人物の中で誰よりも王様らしいのがすごい。密偵としての使命を帯びたシリーンとの駆け引きの描写は緊張感があって良かったです(一番シリーンが密偵らしいルートなので、このルートを最初にプレイしていればシリーンの印象ももっと良かったかもしれない)。カルゥーが死んでしまったのは悲しかった……。第三夜では、店長の真意が明らかにされて、シリーンが店長の呪縛から開放されるので物語としてもすっきりします。

ジェミル

 皇驪に次いでビジュアルや雰囲気が好きなキャラクター。シリーンに対する好意があからさまなのに、全然気づかれない気の毒な人。痺れを切らしたジェミルからキスをされても弟扱いを変えないシリーンにはやや呆れつつ、ひたすらシリーンのために行動するジェミルが良かったです(他キャラルートではシリーンの幸せを願ってひっそり身を引いたんだろうなと思うと切ない)。王族の生まれであることが発覚してからの王位継承の流れは物語としては綺麗だけど、暗殺者として生きてきて、権力欲もなさそうなジェミルが王様になってしまって国はもちろん、ジェミル自身も大丈夫なのかなとちょっと心配になりつつ。