- 満足度: ★★☆ 2.5
- 総評: ★★★ 3.0
- シナリオ: ★★★ 3.0
- キャラクター:★★★☆ 3.5
- グラフィック:★★☆ 2.5
- 音楽: ★★★★ 4.0
- システム: ★★ 2.0
架空の国「ノヴィスタン」で新聞社の編集長となり、新聞の記事を通して国民の世論を作り上げていくアドベンチャーゲーム。
「プレイヤーが新聞の記事を通して世論を作り上げる」というコンセプトがとにかく面白い。 マスメディアからの情報は必ずしも真実ではない。 誤った情報もある。 伏せられる情報もある。 ときには政治的、経済的意図によって作為的に情報が選別される。 それらを受け取る大衆もまた、たやすく踊らされ、扇動される。 本作は、そういった現実世界におけるマスメディアと世論の在り方を強く風刺するものとなっています。
ゲームとしては、編集長として新聞に掲載する記事を選択する「編集パート」と、街中を探索し人々と交流する「探索パート」に分かれます。
外資の受け入れや移民に対する国民感情の悪化といった国際問題、市民への医療の提供の在り方や新薬の開発といった医療問題……。
ノヴィスタンは様々な問題を抱えており、プレイヤーがそれらの問題に対してどういったスタンスで新聞の記事の選択を行うかによって、街中やそこに生活する人々の様子が大きく変化していきます。
このゲームの面白いところは、そういったプレイヤーの選択に「正解」がないところにあります。
プレイヤーがあるものを支持することで、利益や恩恵を享受する人々がいれば、不利益を被る人々もいる。
移民の同僚に影響を受けて外国に門戸を開くことを支持する記事を選択し続ければ、移民に対する国民感情が緩和し、外資企業の参入で人々の生活が豊かになる一方、地元の小店舗の経営が苦しくなっていく、といったように。
そのため、プレイヤーは常に何を選び取るか、自分の意思で選択し続けることになります。
荒い 3D ポリゴンのグラフィックに安っぽさは感じるものの、主要なキャラクターにはきれいな立ち絵が用意されていて、くるくると表情の変わるため、低価格のインディーゲームとしてはむしろよくできているかなと。
BGM も、どこか荒廃感のあるノヴィスタンの雰囲気に合っていて良かったです。
難点は、システムの洗練されていなさ。 周回が前提となるゲームデザインであるにもかかわらず、テキストのスキップや手動セーブ、セーブデータのバックアップなどの機能がないので、周回がとにかく面倒です。 また、もともと PC 用に開発・販売されていたからか、UI が PC 用にチューニングされている節があり、記事の選択時の操作が直感的でなかったり、テキスト送りや選択肢の際に変なウェイトが入っていてスムーズに操作できなかったりと、ストレスを感じる場面が多かったです。 ゲーム部分が単調なのも相まって 2 周クリア時点でお腹いっぱいに……。 ゲーム自体のコンセプトが面白いだけに勿体ないなと感じました。
プレイ状況: Switch 版で 2 周クリア
プレイ時間: 1 周クリアに約 3 時間