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幻奏喫茶アンシャンテ 感想

幻奏喫茶アンシャンテ』(Nintendo Switch
オトメイトアイディアファクトリー) 

幻奏喫茶アンシャンテ - Switch

幻奏喫茶アンシャンテ - Switch

  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: Video Game
 

 

- 満足度:★★★★☆ 4.5

- 総評:★★★★☆ 4.5

- シナリオ:★★★★ 4.0
- キャラクター:★★★★★ 5.0
- イラスト:★★★★★ 5.0
- 音楽:★★★★☆ 4.5
- システム:★★★★ 4.0

良かった点
王道で熱い展開、サブキャラクター含め個性的で魅力あるキャラクター、美麗なグラフィックと雰囲気に合った BGM

悪かった点
序盤のテンポがやや悪い、恋愛過程の描写が薄い、ご都合主義感的な展開がある

購入動機
イラストが綺麗だったのと、人外との恋愛が楽しめると聞いて

プレイ状況
エンディング・CG フルコンプ

プレイ時間
共通ルートが約 10 時間、個別ルートが各 4 ~ 6 時間、フルコンプに 40 ~ 50 時間

作品情報

幻奏喫茶アンシャンテ』は 2019 年にオトメイトにより発売された女性向け恋愛アドベンチャーゲームで、選択肢によって分岐していく、シンプルなノベルアドベンチャーゲームです。シナリオは中山智美さん、小縞なおさん、吉村りりかさん、佐々木麿さん、イラストはユウヤさんが担当されているようです。キャストは、
- ミシェル・アレックス:赤羽根健治
- カヌス・エスパーダ:梅原裕一郎
- イル・ファド・デ・リエ:石川界人
- イグニス・カリブンクルス:小野友樹
- 凛堂香:諏訪部順一

物語

 舞台は現代日本。主人公である琴音(名前変更可)が、祖父の経営していた喫茶店アンシャンテを継ぎ、アンシャンテに通う常連たちと交流し、仲を深めていく恋愛アドベンチャーゲームです。喫茶アンシャンテの常連たちは一人を除いて全員人外、魔王に天使、魔獣に首なしデュラハンと個性的なメンバーたち。彼らと交流していく中でどのような物語が紡がれていくのか……、といった内容となっています。

 

 以下、ネタバレには配慮していますが、どういった雰囲気のゲームかについては言及していますので、気になる方はご注意下さい。

王道で熱いシナリオと魅力的なキャラクター

 『幻奏喫茶アンシャンテ』は、攻略対象が一人を除いて人外、中には顔のない攻略対象もいるという、恋愛アドベンチャーゲームとしては一見かなり色物なのですが、実際には、各攻略対象たちが自身の抱える問題を主人公とともに乗り越え、絆を深めていくという王道で熱いシナリオが展開されるため、シナリオとしては結構万人受けするのではないかと思います。ゲームは共通ルートと個別ルートに分かれていて、攻略対象によっては恋愛感情というよりも親愛感情では?と思うシナリオもあり、恋愛感情を抱くに至る過程の描写は全体的に薄く感じましたが、主人公と仲を深めていく過程が丁寧に描写されているため、個人的には気になりませんでした。ただ、やはり攻略対象が人間じゃないという点が受け入れ難い人はいるかと思いますので、そこはご注意を。また、もう一つ注意点として、ゲームのパッケージや公式サイトのほんわかした雰囲気に反して、バトルや暴力的なシーンが含まれます。このゲーム、CERO C なのですが、ほぼ間違いなく流血、暴力シーンが原因です。とはいえ、あくまでベースは恋愛アドベンチャーで、そういった描写は控えめなので、バトル系の漫画(あまり詳しくないですが、鬼滅の刃や東京喰種辺り)が読めるのであれば問題ない範囲であるかなと思います。

 こういったシナリオを引き立てているのが、魅力的なキャラクターたち。攻略対象であるアンシャンテの常連メンバーは、美麗なイラストも相まって、個性的で、とても魅力的です。そのため、キャラクター同士の会話は、日常的な会話ですら読んでいて楽しく、一人を除いて人外という設定にもかかわらず、時に妙に人間臭かったりして、ずっとこのゲームの世界に使っていたくなります。公式からの推奨攻略順としては、カヌス、イグニス → 凛堂、イル → ミシェルとなっていますが、攻略制限のかかっているミシェル以外は好きな順番で特に問題ないかなと思います。また、攻略対象以外のサブキャラクターたちも一癖二癖あるキャラクターたちばかりなのですが、みんなとても魅力的で、それもこのゲームの好きなところです。

茶店の雰囲気にマッチしたグラフィックと BGM

 このゲームをプレイしたとき、一番に目に入ったのが、茶店の雰囲気にマッチした可愛らしい UI と落ち着いた雰囲気の背景です。また、BGM もレトロな喫茶店を思わせる落ち着いたものになっており、世界観を引き立て、ゲームへの没入感を増大させてくれます。

個人的に気になった点

 シナリオ部分に関して個人的に気になった点として、序盤のテンポがややゆっくりです。ノベルゲームではある程度仕方がないのかもしれませんが、特にこのゲームでは常連メンバーたちの住む異世界の説明がしばしば挟まるため、余計に気になりました。また、一部のルートでは、ご都合主義的な展開があり、少し残念でした。

 システム的な面では、既読スキップが遅めな上、共通ルートが結構長いので、各ルートの攻略が地味に大変でした。

まとめ

 人間と人外との恋をテーマにしているだけあって、ややニッチな作品ではありますが、キャラクター、グラフィック、雰囲気、シナリオいずれも高水準でまとまっていて、人外要素に忌避感がなければプレイして損はない作品だと思います!常連仲間ということで、攻略対象同士のやり取りも楽しく、和気藹々とした日常会話を聞いているだけでも楽しかったり。主人公がそんな常連メンバーたちと絆を深めていく過程がとても丁寧に描かれていて、とても楽しめた作品でした。

 

※ 以下、ネタバレありの個人的な感想です。

 

プレイ後感想(ネタバレあり)

 パッケージの雰囲気から、ほんわかした恋愛アドベンチャーだと思ってこのゲームを始めたのですが、実際には王道な異世界ファンタジーで驚きました。個人的には、こちらの雰囲気も好きなのですが、パッケージ詐欺と言われても仕方が無い気がします……。妖怪とかそういった要素が好きなので、人外要素に惹かれて購入したのですが、凛堂ルート以外はそれほど人外要素は感じられなかったかなと思います。ただ、どのキャラクターも本当に魅力的で、キャラクター同士の会話がとても面白かったです。攻略対象によってはご都合主義的な展開もあり、納得できないルートもありましたが、主人公と攻略対象が共に困難を乗り越える中で絆を深めていく王道的な展開で楽しめました。プレイ前は凛堂のキャラクターがそれほど気になっていた訳ではなかったのですが、凛堂のシナリオでは恋愛過程もしっかりしている上、人間と人外の違いに焦点が当たっていて、個人的に一番好きでした。攻略対象の中で唯一人間だと思っていたら、生きるために人外へとして生きていくこととなり、その葛藤が切なく印象的でした。またこのゲームではサブキャラクターも個性的で、シナリオにも深く関わってくるので、どのキャラクターも印象に残り、サブキャラクターなのがもったいないくらいでした。

 

【攻略順】
公式推奨:カヌス、イグニス → 凛堂、イル → ミシェル(ミシェルは攻略制限あり)
プレイ順:カヌス → イグニス → 凛堂 → イル → ミシェル

【好きなキャラクター】
プレイ前
イル>イグニス>ミシェル>カヌス>凛堂
プレイ後
《キャラクター》イル>凛堂、イグニス>ミシェル>カヌス
《シナリオ》凛堂>>イル(バッド)、イグニス、カヌス(グッド、バッド)>イル(グッド)>ミシェル(バッド)>ミシェル(グッド)

 

 以下、キャラクター別雑感です。

 

カヌス・エスパーダ

 紳士な顔なしデュラハン。カヌスの住む、自然豊かで美しい妖精界がその実世界樹の餌場という設定が非常に重い。その中でも、カヌスは世界樹の餌となる妖精に直接手を下す死の妖精であるという設定も重い。現状に甘んじなかなか変革に踏み出せなかったカヌスが琴音の危機に応じて、妖精界の現実と向き合う展開は熱かったです。最後まで顔なしのままというのも良かった。でも、恋愛ストーリーというより、友情ストーリーと見えなくもない。

イグニス・カリブンクルス

 いつも何か食べている気がする魔獣。ぶっきらぼうだけど、常連メンバーの中で一番の常識人な気がします。力こそ正義な魔獣社会において不殺を貫くイグニスですが、その実態は、他者を捕食する古代の化け物である界喰狼(ヴァナル)。イグニスの持つ信念をあざ笑うかのような展開で胸が痛かったです。しかし、イグニス自身が不殺を貫いていたからこそ、他の魔獣の心を動かし、ヴァナルへの変容から救われるという展開は非常に熱かったです。でも、このイグニスルートも、恋愛ストーリーというより、友情ストーリーに見えなくもない。

凛堂香

 イケメンなおじさま。唯一人間な攻略対象かと思いきや、個別ルートでは人外へと変化することに。しかも本人の意思と関係なく、人外へと変化させたのも琴音自身という心にぐさりとくる展開。その分、人間と人外とが親しくすること、そして恋愛関係になることについて一番しっかり描かれていて、個人的には一番好きなルートです。自分の立場やらを気にして一歩引いてしまう凛堂に対して、琴音が踏み込んでいく部分も好きです。シナリオとしては二人が結ばれてハッピーエンドですが、いずれ寿命という形で、人間と人外との違いを突きつけられることになるんですよね。そういった部分も含めて好きです。

 御門と雫の顛末は悲しい。ミシェルルートでわずかながらでも希望が見えただけに、もっと別の結末を迎えられなかったのかと切なくなります。

イル・ファド・デ・リエ

 世間知らずの天使。思わず手を差し伸べたくなってしまうほどの世間知らずさと、世間知らずゆえの毒舌が好きです。ついでにビジュアルと声もダントツで好き。あと、相棒のソリトゥスのキャラクターやソリトゥスとの関係性も好きです。

 シナリオは、兵器でしかなかったイルが愛を知って感情を得るという王道もので良かったです。シナリオ終盤はややご都合主義ぽくて気になりましたが、総合的には大満足。

ミシェル・アレックス

 心配性で過保護なお父さん魔王。メインヒーロー的な立ち位置で、主人公とのつながりも一番深いのですが、個人的には過保護系のキャラクターにあまり惹かれないので、ミシェルも例に漏れず……。厳しい攻略制限がかかっていることもあって、実質真相ルートでかなり気合が入っています。これまでの各キャラクターの抱える問題もふんわり解決するので、大団円ルートとも言えるのかな?サブキャラクターとして登場した本物の魔王が滅茶苦茶良いキャラをしていて好きです。

 シナリオとしては、人外のミシェルが人間に、人間の琴音が人外になるという、人間と人外をテーマとしたこのゲームらしいもの。惜しむらくは、尺の関係かシナリオが駆け足。もう少しミシェルやノア、琴音の心理描写がされていたら良かったなぁと。