炬燵の中でゲーム三昧

ゲームのプレイ雑記やあれこれ

DAIROKU:AYAKASHIMORI プレイ日記#1:湫・白月・比良ルート

 妖たちの住むサクラタニを舞台とした乙女ゲーム。 主人公はサクラタニを管理する第六に配属された公務員。 主人公が公務員というのは、ちょっと珍しい気がします。

 何人かのエンドを見たところですが、個人的にかなり好きなゲームです! 攻略対象 5 人のうち 4 人は妖ですが、主人公が妖の伝承や印象に惑わされず、一人一人と正面から、それでいて自分の主張を押し付けることなく誠実に向き合い理解しようとしていくので、主人公と攻略対象が互いに信頼関係を築いていく過程に強い説得力があります。 また、どのキャラクターも、性格や関係性が丁寧に描かれていて、とても生き生きとしています。 共通ルートでの、キャラクター同士のやり取りも見ていて楽しい。 恋愛部分も、主人公と攻略対象が親しくなっていく過程が丁寧に描写されていて本当に良い。 マップで行き先を選択して目当ての攻略対象に会いに行くというシステムを採用しているのですが、主人公が攻略対象と関わっていく中で少しずつ仲を深めていくシナリオ部分とマッチしているように思います。 その上で、物語の中ですべてを語らず、プレイヤーが想像する余白が残されている感じが個人的にはかなり好きです。 それ故に本作についてシナリオが薄いと評されているのも理解できるのですが……。 マップ選択システムも含め、一昔前の乙女ゲーム感があるので、好みは分かれそう。

 公式サイト眺めた感じだと、好きなキャラは悪虂王>瀬見>白月>比良>湫かなー。

 ※ 以下、ネタバレ注意

 

 妖守を敵視しているため、はじめはまともに口も聞いてくれませんが、段々と信頼関係を築き、気の置けない友人のような関係になっていきます。 とても純粋で素直な性格で、攻略対象の中で比良についで年長であることに驚きます(比良 2500 歳くらい、湫 2300 歳くらい、悪虂王 1266 歳、白月 734 歳、瀬見 26 歳)。 大蛇の過保護のなせる技か……。

 恋愛エンドでは、主人公と湫が信頼関係を築いていく過程があってこそ、「権力だけが格好良いわけじゃない」という主人公の主張が受け入れられた感じが好きです。 敵視していた妖守とも早々に打ち解けているのも湫の純粋さ故と思いますが、主人公のためにでぇとプランを相談しているのがなんとも可愛い。 友情エンドの友人以上恋人未満なじれじれとした関係もかなり良かった。 出会った当初は主人公が積極的に湫に関わっていたのが、友情エンドでは立場が逆転して、湫の方が主人公に積極的にアプローチしているという。 悲恋エンドでは、融合により大蛇を失った湫が主人公に置いていかれるのを恐れるようになり……。 大蛇と過ごした時間を考えれば人間である主人公の一生など一瞬でしょうし、主人公の死後は湫はどうするのか。 悲恋エンドらしいビターな後味でした。

 湫と大蛇に振り回されたミツチの皆さんはお気の毒……。 ちょっと気になるのは、湫のサクラタニを従えるが格好いいという価値観は一体どこで育ったのか……。 大蛇の悪巧みは湫の要望ありきだし、そもそも湫の希望最優先な大蛇が自ら湫を統として祭り上げることもしないでしょうし。

 大蛇の話からすると、主人公が初代妖守の傍系の血筋っぽいですけど、大円団ルートで回収されるのかな?

白月

 とても好きなキャラクターだけど、攻略対象としてはどうにも合わなくて個別ルートに入った辺りで投げてしまった……。 自称フレンドリーな性格とのことだけど、誰よりも心の距離が遠い。 普段老人のような喋り方なのに、ときどき素に戻るのはツボ。 妖組の中では比較的若いおじいちゃん。

比良

 恋愛、友情、悲恋とどのエンドもめちゃくちゃ良かった……。 これまでプレイしてきた乙女ゲームの中で一、二を争うんじゃないかというくらい好き。 面倒くさがってなかなか相手にしてもらえない状態から始まって、主人公が積極的に関わって段々と仲を深めていってからの終盤距離が近くなるギャップがたまらないです。

 恋愛エンドでの、人と妖という異なる存在がともに生きていけるかという問いに対する、人と妖が違うように人と人ともまた違うし、人と妖がお互いを理解し、ともに生きようとすることを諦める理由にはならない(うろ覚え)という主人公の答えが好きです。 妖もの好きとしても大満足。 ここに至って本作は、主人公が(はじめから違う存在だと決めつけることなく)攻略対象にしっかりと向き合って、理解し、関係性を築いていくところにフォーカスが当てているのだなと感じました。 こういう作品本当に好き。 そして、付き合いはじめてからの、比良のストレートな愛情表現はなかなかに攻撃力が高い……。

 悲恋エンドの、主人公と比良がお互いが我を通して噛み合わなくなってしまった結末も良かった。 比良の気持ちを無視して比良を逃した主人公の行動も大概自分勝手なのに、比良に「話し合わなかった私が悪かった」と言われてしまうのが心に刺さる。 その後、玉鈴の釧を返そうとする主人公に「わたしも好きにする」と言って受け取らないところまでの流れが完璧すぎる。 基本怒りの感情を見せない比良が怒る場面が、この悲恋エンドと主人公が人質にされた場面だけで、ともに主人公が危ない目にあったり不利な状況にあったりなんですよね……。 エピローグでの羽の音が聞こえた場面は、比良が迎えに来たのかなとドキッとします。 そんな未来を見てみたい反面、最初の頃みたいに主人公の方が比良を探しに行くのを見てみたい気持ちもある。

 比良が人を真似てに名前をつけていたことがあると語るシーンが地味に好き。 特別な由来があるようには思えないすごく適当な名前なのに、すらすらと出てくるのが。 名前の部分しか語らなかったけれど、どんな人だったかとか全部覚えているんじゃないのかなと思えて、本当に人が好きで、それ故に人になれないこと、人と同じ時間を生きられないことに飽いてしまったんだなと……。 主人公が人として生きる道を選んだ場合、恋愛、友情、悲恋のどのエンドであっても、主人公もまた忘れられないまま比良の記憶に残り続けるんじゃないかな。 悲恋エンドでもそうだけど、比良が主人公の妖守としての立場を慮るところが節々で描かれていて、面倒くさがって関わろうとしない中でも人間のことをよく見ていて今も人のこと好きなんだろうなと思います。 妖守を目の敵にしていた湫はもちろんだけど、比良の代わりに統の仕事をしている高尾よりもずっとよく見ていそう。